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紛争解決と医療弁護士の役割

昭和大学医学部客員教授 法学博士 弁護士 平沼明

はじめに

医事紛争は民事訴訟の増加だけからみても激増している。それに加えて都立広尾病院事件以来、異状死の届出の増加とともに刑事事件として捜査され、立件されるものも増加した。

いわゆる「割ばし事件」でみられるような民事訴訟上無過失とされたものが刑事訴訟では、過失ありとされたものの因果関係なしとして無罪とされるなど刑事責任の追及は問題点を多くもっている。

又巷では、モンスターペイシエントなる理由なき患者のクレーム、暴言、暴力が増加しているのも事実である。

これらの紛争解決に医療弁護士の果たすべき役割は大きいと考える。

 

医療弁護士とは

現在行われている医療側弁護士の多くは、損害賠償関連についてであり、その多くは賠償保険を運営する損害保険各社に関係する弁護士によって遂行されていることは顕著なる事実である。

損害賠償事件の解決に当たって、医療弁護士がメディエーターの役割を果たしてきたが、異状死に伴う刑事事件、クレーマーであるモンスターペイシエントについては、未だ専 門的弁護士は少数である。これらの新しい分野について医療と法律研究協会は、それらを専門的に扱う弁護士を医療弁護士として制度化し、紛争当事者の役に立つことを企図している。

 

医療弁護士の役割

医療紛争に種々のものがあることは冒頭に述べたが、損害賠償に関しては、その紛争解決は、下図記載の内容で解決されてきた。

刑事責任の追及に関しては、弁護人として弁護士の果たす役割は大きいものがある。

刑事訴訟法上、弁護人選任権が被疑者、被告人に認められている(刑訴法第30条1項)。

異状死の届出に例をとると、届出の必要性の有無、届出後の警察が医師を被疑者として扱う捜査段階、起訴便宜主義に従って起訴されるべきか否かなど、起訴前の弁護人の活動範囲は広いものがある。刑事弁護人にはメディエーターとしての役割もあり、刑事紛争を初期の段階で解決する有力な武器として大いに活用されるべき分野である。